Dorine Muraiile『Mani』
エレクトロニカで一番影響を受けたアルバム。
- アーティスト: Dorine Muraille
- 出版社/メーカー: Fat Cat
- 発売日: 2003/03/10
- メディア: CD
- 購入: 1人 クリック: 5回
- この商品を含むブログ (2件) を見る
Dorine Murailleは フランスのジュリアン・ロケ(Julien Locquet)という人の一人ユニット。いまだになんて読むかわからんのだが。
ほか、Gel:という名義でも何枚か出してる。
2002年発表ということで、そこそこに古い作品なんだけど、いまだに寝るときとかよく聴いてる。中学生の頃に狂ったように聴いてた槇原敬之やWANDS、B'z、チェッカーズを除くと一番聴いたアルバムかも知れない。そもそも並べて比較するようなものではないが。
このアルバムとの出会いは偶然で、新しい音楽を求めてアレコレ聴き漁っていたところ、ある音響系のライブで知り合った女の子からその日買ったばかりというこのアルバムを借りたのがきっかけである。
その日買ったばかりのCDを素性のわからないライブで隣あっただけの男に貸すというのも謎であるが、結局その娘とは何回かメールのやり取りをしたものの、再度会うことはなかった。
他愛のない話をいくつかした後、どういう流れかコチラから『千夜一夜物語』の成立の経緯や当時の西洋と中東の世界情勢について10通超のメールを送って以来(当時は文字制限があったので長文は何回かに分けて送る必要があった)、先方からさっぱりメールが来なくなり、返信ない内にコッチからメールするのもなあ、と思ってそのまま音沙汰なしのつぶてという状況である。
いわゆる世間でいう借りパクである。
もう20年近く前の話になるが、彼女は就職失敗して大学卒業したもののサンドイッチ工場でバイトしてると言っていたが、無事に就職できただろうか。誰とも話をしなくていいのでこのバイトは性に合っている、と言っていたのでまだベルトコンベアの前でサンドイッチを大量生産しているかも。
そんな女性から譲り受けた(?)CD。確かにそういう人のためにある音楽であるかも知れない。いや、言ってる本人もどういうことかわからんが。
楽曲は一貫してリズムを持たず、小さな音楽のかけらをコラージュしたような作りになっているが、それが不思議と確かにひとつの世界をつくっていて、不規則なビートながら巧みに音楽がさざ波を生み出し、ベッドに横たわりじっと聴いていると、深海の海月になって手を引かれながら闇の中を浮遊しているような感覚を引き起こす。烏賊でもいいよ。
日中、陽の高いうちから聴いてもピンとはこないと思う。夜更け独りになったときに部屋の明かりを落としてひっそり聴くのに相応しい。
明日はサンドイッチを食べよう。